「歯が沁みます」
このように訴えられる患者さんが数多くいらっしゃいます。
歯が沁みる原因はいくつか考えられ、もちろん原因により処置も異なってきます。
今回は歯が沁みる原因とその処置について、ご紹介していきます。
歯の構造
歯が沁みる原因をご紹介する前に、歯の構造をご紹介しておきます。
エナメル質
歯の表面を覆う薄い層です。非常に硬く、温度などの刺激を内部に伝える機能はありません。
よって歯の表面をエナメル質で覆われている正常な状態では冷たいもの、熱いもので私たちの歯が痛みを感じることはありません。
象牙質
エナメル質の内部にある構造物です。象牙質には細かな管がたくさん通っており、温度などの刺激を内部に伝える機能があります。
よって何かしらの原因で象牙質が露出すると、歯は冷たいもの・熱いものなどで痛みを感じるようになります。
歯髄
歯の一番内部にある構造物で、神経や血管が集まっています。
歯が沁みる原因とその処置法
①虫歯
歯が沁みるとき、多くの方が心配されるのが虫歯ではないでしょうか。
虫歯になると歯の表面(エナメル質)が溶かされ、内部の構造(象牙質)が外と交通するようになるため、冷たい風や冷たい食べ物・飲み物で歯が沁みるようになります。
虫歯で歯が沁みる時の特徴は、10秒以上持続して沁みることです。
また、虫歯がさらに進行すると温かいもので沁みるようになったり、何もしていなくてもズキズキとした痛みが生じることがあります。
虫歯で歯が沁みるとき、もちろん虫歯の治療をしなくては痛みは無くなりません。
虫歯を削り取り、何か修復物で修復することで、沁みないようになります。
②WSD
噛み合わせの力の強い方、食いしばり・歯ぎしりの癖のある方、硬い歯ブラシを使っており尚且つ歯磨きの力が強い方などにみられるもので、日本語では楔状欠損と言います。
その名の通り、歯茎の少し上くらいの高さで歯の表面が楔状に欠損している状態です。
WSDが原因で歯が沁みる場合、痛みは一過性で持続しません。
表面をコンポジットレジンという白色の樹脂系の材料で欠損部分を埋めてあげることで症状は落ち着きます。
また、再発を防ぐために歯磨き指導や夜間のマウスピース装着などをお勧めすることもあります。
③歯肉退縮
歯茎が下がると歯の根っこが露出してきます。歯の根っこにはエナメル質が存在せず象牙質が剥き出しになっています。そのため、歯茎が下がり根っこが露出すると冷たいものが沁みるようになります。
露出した歯の根っこの表面に治療薬を塗布してコーティングすることで症状を落ち着かせることができます。
④ホワイトニング
詳しい機序は分かっていませんが、ホワイトニング後に一時的に歯が沁みることがあります。
数日〜1週間程度で正常に戻ることがほとんどですので、まずは様子をみてみましょう。
知覚過敏用の歯磨き粉も市販されています。
知覚過敏用の歯磨き粉は使い続けることで徐々に効果が出てくると言われているので、今使っている歯磨き粉を知覚過敏用のものに変えるのもいいでしょう。
沁みる原因が何なのか、自己判断で済ませてしまうのは危険です。
お口の中で気になる症状があれば、一度歯医者さんで相談してみてください。