日本人の平均寿命は世界トップクラスであり、今後もさらに伸びるだろうと言われています。
最近では、「健康寿命」という考え方が注目されるようになってきました。
ただ長生きするのではなく、“健康に”長生きしようという考え方です。
健康寿命とフレイル
フレイルという言葉があります。
Frailty(虚弱)という言葉から2014年に日本老年医学会が提唱した概念で、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされています。
簡単にまとめると、「健康な状態と介護が必要な状態の中間で、適切に介入・支援したら健康な状態に戻れますよ。」という状態のことですね。
フレイルを見逃さず適切に介入・支援することで健康寿命を伸ばすことができるという訳です。
お口の健康と全身の健康
お口周りの健康が体全身の健康へ大きく関係していると言われています。
生きるためには栄養を摂取することが必要不可欠ですよね、そして栄養は口から摂取します。
なのでお口周りにトラブルがあると栄養を摂取しづらくなり、全身の健康を損なってしまうのです。
健康に長生きするためにも、お口の健康を保とうというのが最近の考え方です。
オーラルフレイル
フレイルのお口バージョンの言葉です。
噛んだり、飲み込んだり、話したりするお口周りの機能が低下している状態です。
噛んだり飲み込んだりする力が衰えることは食生活に支障をきたし、全身健康状態の悪化を招きます。
滑舌が悪くなると人や社会との関わりに消極的になり、鬱状態になったりボケが進んだりします。
オーラルフレイルの人は、そうでない人に比べてフレイル、要介護認定、死亡リスクが約2倍も高いというデータもあります。
オーラルフレイルの症状
唾液の量の減少
嚥下機能(飲み込みの能力)の低下
歯数の減少
むせやすい
固いものが食べにくい
滑舌が悪くなる
オーラルフレイルの症状は、大まかに
①虫歯や歯周病などで歯の状態が悪くなる、歯が無くなることで生じるもの
②生理的な老化現象で生じるもの
③筋肉の衰えにより生じるもの
この3つに分類されます。
①の原因は歯医者に通うことで予防・現状維持できます。
歳を取ったら歯がグラグラする・抜けるのはしょうがないとお考えの方は、ぜひ一度歯医者さんにお口を診てもらいましょう。
③の筋肉の衰えに対しても有効的な対策があります。
お口周りの筋肉の体操の一部として舌の運動をご紹介します。
・顎の先を触るつもりで舌をベーと出す
・鼻を触るつもりで舌を上に伸ばす
・左右に思い切り伸ばす
・スプーンなどを舌の上から押し当て、それに抵抗するように舌に力を入れる
舌は食事と発話の両方に関係する大事なパーツです。
他にも唇の体操、頬の体操、飲み込む力を上げるための体操など様々な体操がありますので気になる方はお気軽にお尋ねください。
健康に長生きするためにも、歯医者さんに行きましょう♪