皆さんは「笑気(しょうき)ガス」をご存じでしょうか?笑気ガスとは全身麻酔にも使用される吸入麻酔薬の一種で、正式には「亜酸化窒素」といいます。ガスを吸った患者さんが、笑ったような表情になることからそう呼ばれるようになったそうです。弱い鎮静・睡眠作用をもつ無色透明の気体でほのかに甘い匂いのするのが特徴です。吸入されると速やかに効果が現れ、中止すれば直ちに排泄されるという性質も持っています。そのためほとんどの場合、吸入中止後数分で帰宅可能です。主に歯科治療に対し不安や緊張がつよい方(歯科治療恐怖症)やお子様の治療時に用います。
どんな方に使用するのか?
- 歯科治療に対して恐怖や不安が強い方
- 緊張感が強い方
- 高齢の方
- 嘔吐反射(口に治療器具が入るとえづきやすい)のある方
- 高血圧や心疾患をお持ちの方
- 疼痛性ショックを起こしやすい方
笑気ガスが使えない(向かない)方
- アレルギー性鼻炎や鼻詰まりで鼻呼吸できない方
- 中耳炎の方
- 妊娠、授乳中の方
- 呼吸器系疾患のある方
- 肺、腸閉塞がある方
- パニック障害の方
- 過換気症候群の経験のある方
- てんかん既往のある方
- 2ヶ月以内に眼科手術を受けた方
笑気吸入麻酔下での治療の流れ
笑気を使用して、実際にどのように治療が行われているのか、簡単な流れをご紹介致します。
- 笑気吸入装置に繋がった専用のマスクを鼻に装着します。
- 鼻呼吸して笑気ガスを吸入します。
- 効果が現れるまで3〜5分ほど待ちます。
- 笑気ガスを吸入し続けながら治療をしていきます。
- 必要に応じ局所麻酔(注射の麻酔)も併用します。
- 治療終了後、一旦酸素を吸入します。
- 意識がしっかり戻るまで数分間安静にします。
- ふらつきがなく気分も悪くないことを確認して、ご帰宅です。
安全性
笑気には毒性はなく、副作用のほぼないと言われており、お子様からお年寄りまで、幅広く使用することができます。血中からの排泄が早いため治療後の回復が早く、体内で分解されることなくそのまま排泄されます。なので呼吸器系、肝臓、腎臓、代謝系などの負担をかけることはありません。また、鼻から気体を吸うだけなので、点滴の注射が苦手なお子様も安心して治療が受けられます。笑気ガスで痛みがなくなる訳ではありませんが、緊張状態を和らげるので、患者様の負担を軽減させることができます。
歯科治療において不安や恐怖心がつよい方、嘔吐反射がつよい方、歯医者が苦手なお子様の治療をご希望の方は、お気軽にご相談ください。